GOING STEADY 歌詞を考察。峯田和伸という伝説【絶対に聞いておきたい3曲】

GOING STEADY(ゴーイングステディ)というバンドが日本の90年代パンクロックシーンを先導していた。

1996年に峯田和伸を筆頭に4人編成のバンドが結成され、当時の若者の心を鷲掴みにしていた。2003年に解散し、7年間という期間、GOING STEADYは世界の若者に対して叫び続けていた。背中がむずがゆくなりそうな恋の歌と、友達の歌、自分に対する内省の歌のように、世界に対して1人の「少年」として叫び続けた。

スタジオアルバムはたったの2枚。

  • 1st:BOYS&GIRLS
  • 2nd:さくらの唄

アタシはこのアルバムを中古で購入し、CDが擦り切れるほどに聴き込んだ。スピーカーから流れるしゃがれ声に、家族はアタシに奇異の目を向けていたが、当時16歳のアタシにはGOING STEADYが世界のすべてだった。

学校の登下校、勉強中、友達の家に行く途中、好きな子のことを思い浮かべる時間、生活のすべてにGOING STEADYの音楽があった。GOING STEADYはアタシにギターを趣味にするきっかけくれた、そして音楽の本質をすべてGOING STEADYから学んだ。

高校生の頃のアタシの人生のすべてだった「GOING STEADY」の【絶対に聴いておきたい曲】を5曲紹介したい。

絶対に聴いておきたい曲

銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜
GOING STEADY
ロック
¥150

銀河鉄道の夜はアタシが一番好きな曲だ。キャッチーなメロディーに、荒々しい中にも切なさが垣間見える峯田和伸のボーカルが映える曲だ。当時のパンクバンドとは異色の歌詞は、文学的な一面を見せている。

「銀河鉄道の夜」と聞いてピンと来る人もいるだろう。宮沢賢治の小説にその歌詞のタイトルが存在する。峯田和伸本人はこの曲に対して宮沢賢治のことに対して言及はしていない。GOING STEADY「銀河鉄道の夜」の歌詞を読み解くと、宮沢賢治の小説の風景がよぎる。

そして、別な曲の歌詞になるが「夜王子と月の姫」という曲には【カンパネルラ】という王子が登場する。このカンパネルラは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に登場するヒロイン的存在だ。(注:おそらくカンパネルラは男の子)

耳にあてて天の川の声が聴こえて銀色砂漠に響く

新世界交響楽団名前はカムパネルラ翼溶けた夜王子

夜更かし子供は見たクロオルして空を飛ぶ夢

出典:GOING STEADY 【夜王子と星の姫】

この歌詞を見ると、やはり宮沢賢治の小説の「銀河鉄道の夜」との関連性を想起させる。

「パンク=うるさい」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、とても完成度が高くエモーショナルな曲としての完成形だ。純文学を音楽で表現する力をGOING STEADYは持っていた。

BABY BABY

BABY BABY (ALBUM VERSION)
GOING STEADY
ロック
¥150

まずは歌詞を見てほしい。

街はイルミネーション 君はイリュージョン

天使のような微笑み

君を思い出せば 胸が苦しくて

消えて無くなりそうだ

甘いシュークリーム 君はシュープリーム

月面のブランコは揺れる

夢の中で僕等 手をつないで飛んでた

目が醒めて僕は泣いた

出典:GOING STEADY 【BABY BABY】

”イルミネーション”と”イリュージョン”

”シュークリーム”とシュープリーム”

メロディーを壊さない絶妙な韻の踏みと、それぞれの意味の繋がりは秀逸だ。

アタシなりの意味でBABY BABYの歌詞を読解すると、「街のイルミネーションの風景の中で溶ける、もう一つの君という景色はこの世のものとは思えないイリュージョン(錯覚)として僕の目の前に広がっている」これは”君”という存在を最上級に表現するにふさわしい言葉の繋がりだ。

「シュープリーム」とは「最高位」のという意味を持つ。「甘いシュークリーム」の中身は「純白のホイップクリーム」だ。「純白の君は最高だ」を「甘いシュークリーム 君はシュープリーム」で語っているのだ。

そしてメロディーも夜の街のイルミネーションを想像できる煌びやかさがあり、ギターのリフ(イントロのギターソロ)も一度耳にすると覚えてしまう強さを持っている。

the bridge

THE BRIDGE
GOING STEADY
ロック
¥150

ここでも先に歌詞を見てほしい。

お花を踏みにじったのか

いつのまにか僕は汚れた

ピーターパンに謝りにゆこう

遠くで聞こえる少年のうた

出典:the bridge

一見意味がわからない単語が並んでいるように見えるが、これも峯田和伸の歌詞の秀逸さが光っている。

ここでいうピーターパンとはなんだろう。ピーターパンは永遠に大人にならない存在だ。それゆえ少年の「味方」なのだ。少年であるからこそピーターパンと空を飛ぶことができる。

しかし峯田和伸は大人になってしまった自分に罪悪感を感じる。「大人=汚い」という言い方は乱暴かもしれないが、「少年=無垢」という見方は納得がいくだろう。「自分」はもうピーターパンと一緒に飛ぶことができない「汚い大人」になってしまった。

「もう純白の少年の心は持ち合わせていない、だからネバーランドに行くことはできない」とピーターパンに謝りに行くのだ。ここで「遠くで聞こえる少年のうた」という歌詞が、遠い昔の無垢な自分が歌った歌が遠くで聞こえるのだ。

GOING STEADYの魅力

GOING STEADYの魅力はメロディーのキャッチーさもだが、歌詞の秀逸さにあると思っている。

10代に向けて書いた歌詞だからこそ、当時10代の自分には響くものがあった。そして20代の今の自分にも峯田和伸の目線で見える世界に面白さを感じる。

今の時代の音楽は多種多様だ。だからこそ青臭いGOING STEADYの音楽を聴いて、自分自身と向き合う時間を作ってほしい。そしてカラオケでGOING STEADYを選曲して、魂の叫びで自分を表現してほしいのだ。