神聖かまってちゃんというバンドは今でこそ音楽好きには周知されているが、当時はキワモノ扱いの「ネットでもてはやされる役者」だった。
の子というボーカルも役者を演じ、ニコニコ動画から自分たちの音楽を発信していた。
アルバムもそこそこ出しているが、彼らはたった1曲のみで今も勝負している。
たった1曲で首の皮をつないでいる。
それが『ロックンロールは鳴り止まないっ』なのだ。
神聖かまってちゃんは、なぜ叩かれるのか
正直なところ、演奏技術は目も当てられないくらいド下手だ。
それぞれの楽器隊は半年も真面目に練習すれば中学生でも演奏できる、いや彼ら以上にうまい演奏ができると断言できる。
それくらいに、こちらが恥ずかしくなってしまうほどに下手っぴなのだ……。
これが叩かれる理由その1。
その2は、「身内ノリが過ぎる」ことだ。
動画を配信しながら喧嘩、喧嘩、喧嘩。
もうね、何を見せられているのかわからない。
そんなこといいから練習しろといいたい。
よく神聖かまってちゃんの演奏を、「上手くなってはいけない、彼らの演奏技術がリアルな曲を生み出す」と表現する輩もいるが、そんなことは絶対にない。
技術と表現はイコールで繋がる。
「技術」を否定する人間は本気で何かを表現したことがない人間だ。
適当に擁護して「分かった風な人間」を気取りたい、かわいそうな人間なのだ。
そんないざこざを生み出してしまうほどに彼らの演奏には問題がある。
しかし、そのクソ下手っぴな演奏というデメリットを上回る「表現」があることを再確認した。
それが『ロックンロールは鳴り止まないっ』だ。
『ロックンロールは鳴り止まないっ』の魅力
の子が自分自身の人生を投影した曲だからこそ、この曲には力がある。
学生時代に聞いた「セックス・ピストルズ」の良さを「良い!」と理解できるまでの過程を描いた曲だ。
歌詞からは、鬱々とした学生時代が見えるかのように、ひたひたとAメロのボーカルの語りが続く。
そしてサビで爆発する、学生時代の鬱憤が聴くものを魅了するのだろう。
確かに演奏隊はガッチャガチャだが、の子の「歌」の表現力が全てを巻き込み一つのグルーブとして成り立っている。
それほどにこの曲はボーカルのエネルギーが凄まじい。
もう少し「プロ」としての自覚を持つと名曲が生まれるかもしれない。
まだまだ30代そこそこの彼らには、神聖かまってちゃんをこれで完成形だと思って欲しくない。
まだまだ伸びしろがあると思っている。
それほどに『ロックンロールは鳴り止まないっ』には驚かされた。
まとめ
批判するのは簡単だ。
「好きじゃない」の一言で十分なのだ。
しかし、確かに私は『ロックンロールは鳴り止まないっ』で感動したのだ。
もう一度、名曲を生み出して欲しい。