屋久島のすすめ【樹齢3000年以上の縄文杉に逢いにゆく】

「縄文杉に逢いにゆく」

縄文杉とは鹿児島県の屋久島という島の森の奥深くに生きる、樹齢3000年以上の杉の木だ。その縄文杉を見にいく人々はこういう言い方をするらしい。

くたくたになった仕事帰りの道中、ふと「縄文杉に逢いに行こう」と思い立った。何かを変えたいと思った時、バックパックを背負う生き方があることをアタシは知っている。

 

縄文杉とは

世界遺産に登録されている鹿児島県屋久島に自生する最大の屋久杉であり、樹齢は2500年や7000年など諸説あるが、現在の研究では3000年以上というのが定説となっているらしい。縄文杉に逢うためには、往復8時間程度のトレッキングをする必要がある。

「そこまでしてみる価値があるのか?」

アタシは間違いなく縄文杉に出逢ってから人生観が変わった、とだけ伝えておく。

 

縄文杉までの道のり

荒川登山口をスタート地点にして、往復8時間程の道なき道をひたすら歩く。

現在もトロッコが走る「トロッコ道」を小気味良く歩く。

 

トロッコ道が終わり、ウィルソン株までの道なき道をゆく。

 

ウィルソン株

ウィルソン株の中には入ることができる。

ウィルソン株の中から空を眺めるとこういった世界が広がる。

 

ウィルソン株を過ぎるとまたトロッコ道が続く。そのトロッコ道もいよいよ終点となり、そこから本格的な登山が開始となる。

息も絶え絶えに、壊れてしまいそうな太ももを睨みつけ、ただ歩く。前方を見据える気力も残されていないほどに疲弊しきった身体は、考えることすらも拒否する。今自分がどこにいるのか、なぜこんなに苦しい思いをしているのか。ああ、そうだった、縄文杉に逢いに来たんだった。

そんなことを繰り返しながらよろよろ歩いていると、小さな看板が見える。

「縄文杉」

展望台の階段を最後の力を振り絞り登る。周りには誰1人居ない、木々が擦れ合う音だけがざわざわと響いている。

だれもいない展望台にバックパックを投げ捨て倒れこむように寝転んだ。心臓がばくばくと音を立て、心臓という存在を認識する。

ただぼーっと、風の音に耳をすませていた。

何が得られたか

アタシたちは何かに悩み、何かに怯えながら生きている。しかし、縄文杉に逢い、ふと「アタシはこれから、くたくたになりながらも生きていくんだな」と感じた。生きることは時に、どうしようもないほど辛い時期がくる。そのとき倒れ込んでしまってもいい、しかし、そうなりながらも生きていくんだ、という覚悟が芽生えた。

帰路の飛行機のなか、満たされた気分で眠りについた。

人生が辛いと嘆く人にこそ、縄文杉に逢ってほしいと願う。縄文杉を目指す道中に見た緑の木々たちは、ただの景色ではなく「生命」だと感じることができる。